ネパールはヒマラヤ山脈の麓にある山岳国家である。世界最高峰エベレストを目指す登山家の拠点。しかしながら、国連による後発開発途上国(LDC:Least Developed Country)の認定を受けており、経済開発の遅れが目立っている。
基本データ
国名:ネパール連邦民主共和国(Federal Democratic Republic of Nepal)
人口:2,870万人(2018年アジア開発銀行)
面積:14.7万平方キロメートル(北海道の約1.8倍)
首都:カトマンズ (Kathmandu)
民族:パルバテ・ヒンドゥー、マガル、タルー、タマン、ネワール等
宗教:ヒンドゥー教81.3%、仏教9.0%、イスラム教4.4%
言語:ネパール語
通貨:ネパール・ルピー (Nepalese Rupee)
ネパールの暦について
ネパールでは、様々な場面で独自の暦「ヴィクラマ暦」が用いられている。ヴィクラマ暦とは、ネパールやインド北部で用いられている太陽太陰暦。 西暦における紀元前約56年前から始まるため、年表記が異なる。また、西暦の4月中旬から1年が始まるため、月日の数え方も変わるので要注意。 詳しくは「コチラ」の解説をどうぞ。 機械的に西暦へ変換することは難しいが、次のルールで大まかな日付を知ることは一応出来る。
西暦へ変換:ヴィクラマ暦の日付から56年8ヶ月17日を引く
ヴィクラマ暦へ変換:西暦の日付に56年8ヶ月7日を加える
ネパール語 | 読み方 | 西暦との対応 | |
1月 | वैशाक | バイサーク | 4月中旬~5月中旬 |
2月 | जेठ | ジェト | 5月中旬~6月中旬 |
3月 | असार | アサール | 6月中旬~7月中旬 |
4月 | साउन | サーウン | 7月中旬~8月中旬 |
5月 | भदौ | バドウ | 8月中旬~9月中旬 |
6月 | असोज | アソジ | 9月中旬~10月中旬 |
7月 | कार्तिक | カーティク | 10月中旬~11月中旬 |
8月 | मंसिर | マンシール | 11月中旬~12月中旬 |
9月 | पुस | プース | 12月中旬~1月中旬 |
10月 | माघ | マーグ | 1月中旬~2月中旬 |
11月 | फागुन | ファーグン | 2月中旬~3月中旬 |
12月 | चैत | チャイト | 3月中旬~4月中旬 |
気候
平均気温は19℃程度。6月~9月の雨季と10月~5月の乾季がある。首都カトマンズは、標高は1400mにあり、冬でも暖かい。ヒマラヤ山脈に近いところでは、標高がさらに高く、気候も異なり高山気候となる。
世界遺産
ネパール国内には、2019年現在、ブッダ生誕の地として知られるルンビニなど4件の世界遺産がある。
名称(英語) | 名称(日本語) | 登録年 | 種別 | |
---|---|---|---|---|
1 | Kathmandu Valley | カトマンズ盆地 | 1979 | 文化遺産 |
2 | Lumbini, the Birthplace of the Lord Buddha | ブッダ生誕の地ルンビニ | 1997 | 文化遺産 |
3 | Sagarmatha National Park | サガルマータ国立公園 | 1979 | 自然遺産 |
4 | Chitwan National Park | チトワン国立公園 | 1984 | 自然遺産 |
ネパール略史
紀元前6世紀頃 | ルンビニにて釈迦(仏陀)が生誕 |
4世紀頃 | ネーパーラ王国リッチャヴィ朝が成立 |
9世紀頃 | デーヴァ王族がバクタブルに王都を建設 |
14世紀末 | マッラ王族が台頭し、マッラ王朝を確立 |
16世紀頃 | マッラ王朝が最終的に三つに分裂(三王都の時代) |
18世紀後半 | ゴルカ王がネパールを統一してシャハ王朝によるネパール王国を建設 |
1846年~1951年 | シャハ家に代わりラナ一族が専制政治を行う |
1951年 | トリブバン国王(シャハ家)が亡命先のインドより帰国(王政復古) |
1990年 | 民主化運動が起こり新憲法が制定される |
1996年 | 政府軍とネパール共産党毛沢東主義派(マオイスト)の間で内戦が始まる |
2001年 | ネパール王族殺害事件が発生 |
2006年 | 政府とマオイストの間で「包括和平協定」が調印され内戦終結 |
2008年 | 王制を廃止し連邦民主共和制へ移行 |
2015年 | ネパール地震が発生 |
現代のネパール
首都カトマンズ
2019年現在、首都では中国資本による建設中の高層ビルが目立つ。海外から戻ってきたネパール人がビジネスを始めて成功するケースも。しかし、まだまだ発展途上である。
ネパールの現地企業
世界的ブランドの存在感はあまりないが、有力な現地企業はもちろん存在する。
日本との関係
ネパールとの関わりが深い日本人は何人かいる。日本人として始めてネパールを訪れたのは、僧侶の河口慧海氏である。1899年の出来事である。
しかしながら、1975年に女性として世界で始めてエベレストへの登頂に成功した登山家の故・田部井淳子氏は外せないだろう。 同年、ネパール王国から最高勲章とされるグルカ・ダクシン・バフ賞(Order of Gorkha Dakshina Bahu)を送られており、その後も環境保全活動等で交流を続けている。 詳しく知りたい方はこちら。
有名なモノ・人
ネパールといえば、世界最高峰エベレスト(ネパール語ではサガルマータ)やヒマラヤ山脈というイメージが強い。保養地ポカラにある国際山岳博物館には、登山家の田部井淳子さんのコーナーも。
ネパールIT事情
IT環境の状況
近年普及率が100%を超え、急速にスマートフォンなどの普及が進んでいる。道路などのインフラは脆弱だが、ITに関しては、一定程度利用できる状況になりつつある。
通信環境
まず、ネパールには「ネパールテレコム」と 「Ncell」という2大通信会社が存在する。 日本における「NTTドコモ」と「ソフトバンク」といったところである。海外からの旅行者が最初に降り立つであろうトリブバン国際空港の到着出口付近には、両社の店舗が並んでいる。(2019年現在)
ライドシェア
ライドシェアサービスでは、スタートアップの「Sarathi」がある。近年、ネパールではIT人材の輩出に力を入れているため、更なるサービスが登場するのかもしれない。