スリランカはインド洋に浮かぶ島国。首都のあるセイロン島は北海道よりやや狭いが、気候は温暖。紅茶などが有名。

基本データ

国名:スリランカ民主社会主義共和国(Democratic Socialist Republic of Sri Lanka)

人口:約2,103万人(2016年)

面積:6万5,610平方キロメートル

首都:スリ・ジャヤワルダナプラ・コッテ (Sri Jayawardenepura Kotte)

民族:シンハラ人74.9%、タミル人15.3%、スリランカ・ムーア人9.3%

宗教:仏教70.1%、ヒンドゥ教12.6%、イスラム教9.7%、キリスト教7.6%

言語:シンハラ語・タミル語(公用語)、英語(連結語)

通貨:スリランカ・ルピー (Sri Lanka Rupee)

気候

平均気温は全土で30℃程度。ただし、ヌワラエリヤなどの高地では16℃程度と日本の春のような気候。雨季と乾季がある。降水量は、コロンボを含む南西部の方がトリンコマリーを含む北東部よりも多い。

世界遺産

スリランカ国内には、2019年現在、8件の世界遺産が登録されている。6件が文化遺産、2件が自然遺産となっている。

名称(英語)名称(日本語)登録年種別
1Sacred City of Anuradhapura聖地アヌラーダプラ1982文化遺産
2Ancient City of Polonnaruwa古代都市ポロンナルワ1982文化遺産
3Ancient City of Sigiriya古代都市シーギリア1982文化遺産
4Sacred City of Kandy聖地キャンディ1988文化遺産
5Old Town of Galle and its Fortificationsゴール旧市街とその要塞群1988文化遺産
6Golden Temple of Dambullaダンブッラの黄金寺院1991文化遺産
7Sinharaja Forest Reserveシンハラージャ森林保護区1988自然遺産
8Central Highlands of Sri Lankaスリランカ中央高地2010自然遺産
ゴール旧市街とその要塞群

スリランカ略史

紀元前5世紀頃ウィジャヤ王子が南インドからスリランカに上陸し、シンハラ王朝を建設
紀元前3世紀頃アヌラーダプラを都としたシンハラ王朝が繁栄
紀元前250年頃仏教伝来
5世紀後半カーシャパ王がシーギリヤに宮殿を建設
10世紀頃都をポロンナルワに移したシンハラ王朝が統治
13世紀後半マルコ・ポーロが来島する
15世紀頃外部の侵入者に追われたシンハラ王朝が都をキャンディに移す
1505年~1658年ポルトガル人が来航し、沿岸部を植民地化
1658年~1796年オランダ人が来航し、沿岸部を植民地化
1796年イギリス人が来航し、オランダより沿岸部を手に入れる
1802年アミアン条約によりイギリスの植民地となる
1815年都をキャンディに移していたシンハラ王朝が滅亡
1948年イギリス連邦内の自治領セイロンとして独立
1951年故ジャヤワルダナ大統領がサンフランシスコ講和会議に出席し演説
1956年バンダラナイケ政権により、シンハラ語公用語法が成立する
1972年仏教を優遇する新憲法を発布、国名をスリランカ共和国に改称、完全に独立する
1978年国名をスリランカ民主社会主義共和国に改称
1983年過激派組織「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」との内戦が本格化
1987年インドが軍事介入し、スリランカ・インド平和協定が成立
1990年インド平和維持軍(IPKF)が撤退
2002年ノルウェーの介入により、停戦協定を締結
2004年スマトラ島沖地震によるインド洋大津波が発生
2008年停戦協定を破棄
2009年政府軍がLTTEを制圧し、内戦が終結
2019年スリランカ連続爆破テロ事件が発生

現代のスリランカ

発展する都市

成長著しいスリランカの最大都市コロンボ。次々と外国資本によるショッピングモールなどがオープン。2019年現在、とりわけ中国資本による開発が目立つ。

コロンボの風景
Colombo Lotus Tower
南アジアで一番高い建築物「高さ350m」(2019年現在)

スリランカの有名企業

スリランカには世界的ブランド「Nestle」「Unilever」の現地法人も存在するが、有力な現地企業も数多くある。

スリランカの有名食品メーカー「RenukaFoods」
小売り大手「Keells」が展開するスーパーマーケット
1972年にスリランカへ進出し陶磁器の製造・輸出を行っている「ノリタケ」

近年のスリランカ経済

主要産業は、紅茶やココナッツ等の農業や繊維業だが、金額ベースではサービス業が6割となり、コロンボを中心とした経済圏(西部)が多くを占める。

スリランカの観光産業

紅茶や宝石で知られるスリランカだが、2009年の内戦終結後、外国人旅行者数が増加傾向にあり、観光も有望な産業となっている。

日本との関係

日本を救った!?偉大な功績

Hatred ceases not by hatred, but by love

- Gautama Buddha

1951年、 J.R.ジャヤワルダナ(Junius Richard Jayewardene)元大統領はサンフランシスコ講和会議にセイロン代表として出席した。 そして、演説で仏陀の言葉を引用し、対日賠償請求権の放棄を表明し、日本の国際復帰への道を切り開いたのであった。「憎悪は憎悪によって止むことなく、愛によって止む」という有名なフレーズが知られている。

ところで、日本国内にはジャヤワルダナ氏の記念碑がいくつかある。2016年には愛知県愛西市の明通寺境内にも建立されている。

  • 鎌倉大仏殿高徳院(神奈川県鎌倉市)
  • 八王子雲龍寺(東京都八王子市)
  • 城泉山観音寺(長野県千曲市)
  • 明通寺(愛知県愛西市)
明通寺の境内にある記念碑

動物を通した日本との交流

愛知県名古屋市にある東山動物園で飼育されているアジアゾウやクロサイなどの故郷は、スリランカのコロンボ市内にあるデヒワラ動物園なのです。職員の訪問など交流がある模様。

デヒワラ動物園の資料室にて

有名なモノ・人

スリランカといえば紅茶や宝石が有名。さらに、今は亡き、かのSFの巨匠もスリランカにゆかりがあるのです。

セイロンティー

紅茶はスリランカの代表的な輸出品。歴史はイギリスによる植民地時代に遡ります。

茶畑の風景

ジュエリー

セイロン島ではダイヤモンド以外の宝石を採取可能。都市や観光地には宝飾店がよく見られます。

観光客向けの宝飾店

アーサー・C・クラーク

「2001年宇宙への旅」等で知られるSFの巨匠「Arthur Charles Clarke」(1617-2008)は、後年スリランカに滞在し執筆活動を続けていました。 彼の功績を詳しく知りたい方はこちら

A.C. Clarkeの名前がついたスリランカの研究機関
コロンボ市内にある「Borella General Cemetery」に眠る

ジェフリー・バワ

スリランカ出身の世界的建築家「Geoffrey Bawa」(1919-2003)の作品を各地で見ることができます。 彼の作品について詳しく知りたい方はこちら

日本の建設会社「三井建設」が施工したスリランカ国会もデザイン
代表作の一つ「Number 11」

スリランカIT事情

IT環境の状況

近年では、普及率も100%を超え、ライドシェア・フィンテック等、スリランカ発IT企業も存在感を増している。

通信環境

スリランカにおいては、「Dialog」と 「Mobitel(スリランカテレコム)」という2大通信会社が存在する。 日本でいえば、「ソフトバンク」と「NTTドコモ」のような関係である。海外からの旅行者が最初に訪れるバンダラナイケ国際空港の到着ロビーにも両社のカウンターがあるが、窓口での行列を見る限り「Dialog」の方が人気がありそうだ。

ライドシェア

世界展開している「Uber」のようなライドシェアだけでなく、国内のスタートアップによるサービスも存在する。 例えば、近年注目を集めている「Pickme」がある。